1991(平成3)年に日本鉄道保存協会が生まれてから25年、じつに四半世紀の歳月を経ました。発足当初は車両の動態保存をしている14団体でしたが、その後有力な鉄道博物館、意欲にあふれる地方自治体、ボランティアのグループなども加わり、多彩な顔ぶれがそろってきました。現在の会員数は50団体まであと少し、まずはこれまでの発展を皆様
とともに祝いたいと思います。
昨年は世界保存鉄道協会WATTRAINの第2回総会がさいたま市と東京で開かれ、またWATTRAIN出席の各国代表をパネリストに迎えて鉄道遺産の保存活用に関するシンポジウムを開催し、国際交流の実をあげることができました。日本鉄道保存協会にとっては初めての本格的な国際活動でしたが、多くの会員団体のご協力を得て成果をあげることができました。会場を提供してくださり、また見学先として万全のご尽力をくださった会員の皆様方に改めて謝意を表しますとともに、多大のご支援を頂いたJR東日本、JR東海、JR西日本、東武鉄道の各社に心からお礼申し上げます。
先の見えにくくなった時代にあって、いま日本人は、経済の成長と繁栄に期待をつなぎながらも、他方では内面的な精神の安定と文化の豊かさを求めています。日本の近代化を牽引し、戦後復興と高度成長を支えた鉄道の遺産を守り、その価値を後世に伝えようとする私たちの活動は、日本人の心の底にある欲求と願いに添うものであり、私たちは自信をもって理解者と支援者を増やす努力を続けたいと思います。
創立25周年を迎えた日本鉄道保存協会にとって最大の課題は、第一に組織と財政基盤の強化であり、第二に若返りであると言えます。これまでは会員相互の交流に重点を置いたネットワークという緩やかな組織でしたが、この機会に向こう一年間、会員の皆様と議論を重ね、かねてからの課題である法人化をはかり組織基盤を強化するとともに、組織を担う中心となる陣容の若返りを追求し、新たな方向への第一歩にしたいと思います。
2016(平成28)年10月20日
日本鉄道保存協会代表幹事団体
公益財団法人交通協力会 会長
菅 建彦 |