コロナ対策と鉄道と林業振興の連鎖を!地方振興こそ鉄道の役割!

中国原産の新型コロナウイルスCOVID-19は、世界中で蔓延し、企業に在宅勤務を迫り、人々に狭い自宅への蟄居を迫り、人々の交流を妨げ、人々の生活を委縮させた。結果として公共交通機関の利用者が見事に落ち込み、航空機、新幹線を始めとする各種運輸業は、何れも極めて厳しい経営状態となった。鳥取の若桜鉄道も例外ではなく、満を持して整備してきた観光列車も見事に空振りとなり、大幅な採算割れとなっている。
しかし、考えてもみよう。コロナ禍の及ばない森林地域は、日本の国土のやがて80%だ。コロナ禍に怯える都市の人々をこれらの地域に誘うのは、鉄道の役目でもある。都市の人々に林業体験を勧めるのも列車の役割である。鉄道利用の潜在的ニーズは、大きい。そしてその顕在化のカギは、林業振興である。
問題は、COVID-19というのは、罹患しても発症せず、しかも他人に感染させる可能性のある保菌者を生むことで、このような保菌者を森林地域に誘うのは避けねばならない。観光客によって感染率が上昇している沖縄を見れば、海浜地域と森林地域の違いはあるが、これは鉄道でも森林でも対処出来る課題ではないことが、自明であるが、最近の報道によれば、フランスでは日本製のPCR検査装置が使われており、20分程度で結果が出るという。これは早晩もっと高速化するものと思われるので、各駅にこれを設置し、乗降客の健康診断を行うのは無理がない。実際、若桜鉄道の若桜駅には近接してわかさ生協病院がある。若桜鉄道の各駅舎に近接して各種の専門医のクリニックを開設すれば、総体として総合病院となる。若桜鉄道の車両編成にドクター車両を増設することも可能であろう。鉄道車両は、ドクターヘリや救急車よりも広いので、充実した医療設備を具えることも可能で、更にクリーンルーム技術を使って幾つかに区分すれば、感染症と非感染症の双方に対応することも可能であろう。
このような仕組みが整えば、森林地域の衛生を保持し、人々を森林地域に招くのに障害ない。
若桜の林業は、200年を超える長伐期で長大で、通直、無節の良材を産出してきた。日本政府が進めている林業の機械化は、平坦な欧米の平坦な山林で開発された技術で、車両運搬を基本としているので、これを日本の山林に適用すれば、伐採した木材を4m以下の長さに切り縮めなければ搬出出来ない。この結果、わが国の木造建築現場では、主要な木材は長大な輸入材とせざるを得ず、国内産の木材は補足材、ないし化粧材としてしか使われなくなっている。需要の要望を見ない日本の林業政策の結果、国内産の価値を極端に低下させている。
日本の山林で行うべきは、索道、即ちケーブルによる長大な木材を搬出する技術の近代化である。近年のロボット技術を応用すれば伐採機械や植林の機械も索道で運搬する仕組みを開発可能であろう。索道で難しいのはケーブルを固定する塔の建設であるが、その最初の難題は適地選定で、それにはドローンが活用出来よう。
このような技術が開発され、長大な木材が搬出されれば、この後は鉄道も活躍できよう。
林業が活発になれば、山村人口も増えるので、若桜鉄道は、客車も貨物車両も忙しくなる。(理事長 渡辺一正)

伝統的な木馬道
伝統的な木馬道
  建設工事用索道
建設工事用索道