現在わが国の工業技術が世界最高レベルなのは先人達が懸命な努力をし続けてきた賜物であり、その経緯と成果に触れつつ技術発展を図る『温故知新』が工業技術の教育・研究開発には不可欠である。
そこで、学園創立80周年記念事業の一つとして1987年度に開設された当博物館では、国内外の先人達の成果である機械等を調査・収集・保存・展示することで、技術史研究の場を提供するとともに工業技術の教育・研究・啓蒙に貢献することを目的として、下記の諸活動を行っている。

1)わが国の経済発展に貢献した工作機械を主体に、機械機器類を調査・収集し、整理して保存・展示を行う。
2)常設展示とは別に、年1回,中核である工作機械や身近な工業製品の技術をテーマとした特別展を開催する。
3)国内外の技術の変遷を理解する上で必要な書籍・文献・関連資料(図面等)の収集を行い、整理して保存する。
4)技術の変遷に関する記事、当博物館の活動、収蔵品の紹介などを掲載する『工業技術博物館ニュース』を発行する。

開設以来、収蔵品の数が年々増大するとともに質も向上してきており、現在、常設展示品だけで機械機器類大小合わせて500点以上に達している。特に約270台もの工作機械を保存展示し、そのうち約70%が動態保存であること、工場形式の展示も数点あること、機種別・年代順に展示し変遷が理解できることなどが、国内外の他の類似の博物館には無い大きな特長である。
生産機械以外では、国家プロジェクトで開発され世界最高効率を実証した大型ガスタービン、1891年に英国で製造され、長年わが国で活躍した蒸気機関車2100形-2109号、1919年に製造され、100年間にわたり箱根登山鉄道で活躍した登山電車モハ1形103号、2007年の学園創立100周年記念事業の一つとして調査・復元した日野式2号飛行機(レプリカ)なども展示している。蒸気機関車については、動態保存して、キャンパス内に敷設した軌道上で時折有火運転し、鉄道ファンだけでなく、多くの皆様に楽しんで頂いている。

造後130年を迎える2109号蒸気機関車蒸気機関車 屋根塗装工事中の箱根登山鉄道103号電車

 製造後130年を迎える2109号蒸気機関車蒸気機関車

2109号関係の点検と整備についてボイラー性能検査と点検整備作業については線路工事(2021年2月17日~2月18日)を行った。
・枕木の交換 7本
・踏切部(幅9.4m)の軌道整備
・踏切板交換 16本
また機関車の生誕130周年を記念する写真・資料展を2022年3月から4月頃に開催すべく資料の公募などの準備を進めている。
運転については、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、運転席の見学を中止して7月10日に行った。

 屋根塗装工事中の箱根登山鉄道103号電車

箱根登山鉄道103号電車の点検と整備について
車内に雨漏りが発生したため、2021年3月に車輌の屋根について、塗装作業による修復を行った。
現在のところ雨漏りは認められない。
そして、電車内の一般公開に向けて、車内展示物などの盗難防止を目的として防犯カメラを設置した。
巡回などと合わせた防犯対策に勤めている。
また、車内の展示物(中吊りなど)を保護することを目的としてデジタル化や複製の準備を進めている。