会員からのお知らせ・報告


黄福柵原駅へ100mの道程 〜片上鉄道保存会〜

昨年11月2日の黄福柵原駅開通式への遠路からのご参加ありがとうございました。保存会一同、この日を皆様と迎えられたことをなによりの慶びに感じて活動を継続しています。美咲町の職員も皆さん元気です。金色の継目板が繋いだものは明日への希望でした。蟷螂の斧であろうと「継続は力なり」また、多くの賛同者あってこそ夢が叶うこともある。その2つの具現化の瞬間を日本鉄道保存協会の皆様のお立会いで成功出来たことに感謝しています。

皆様が1番列車に乗車された展示運転線本線は救急車の速達道路として撤去整備計画があった区間でした。展示運転開始から9年目のある日、美咲町建設課より「線路がなくなるとあんたら悲しいよなぁ?」と尋ねられました。その場では「出来れば残してほしいです」と答えました。そして会員は集まって考えました。地域にとって新設道路工事がもたらす経済効果は大きなものですし、建設反対は誰でも出来るから能がない、別の方法があるはずで地域利潤を壊さず共存する道を探ることになったのが「猫の手を借りよう作戦」でした。そして、駅長猫コトラが全国に呼びかけるという手法で、道路建設と環境の両立を請願する書類を作成。ホームページ、地域や1日会員、鉄道愛好家への呼びかけたところ、郵送にて全国から2,149名の署名が集まり、マスメディアを経由せずそのまま建設課に提出。以降は撤去確定区間の線路資材を一旦、展示運転線路上に疎開する作業を実施して、撤去費用の低減という形で町への協力実績を作りながら展示運転を継続することに専念しました。

調査期間中は会員の安全衛生法軌道装置動力車講習実施と、保険内容の見直し。助成金等使用の際の実施計画案を作成して提出。設計コンサルタント会社からの草案が作成され、地域の方を対象とした住民説明会では満場一致で「駅を作ることは良いことだ」と可決。住民の方の希望で児童の通学路を線路が寸断しない形で公園増床計画に通路を追加。もちろん保存会は快諾です。また、農業水路や無縁墓碑が線路脇にあったため新設道路は迂回することになり計画修正されました。

駅舎に見立てた新設道路付帯公園の休憩所、プラットホームに見立てた駐車場の側壁として予算区分計上されています。旧踏切については過走対策区間として未撤去だった旧第7踏切レールを北に20cm移動活用し、旧農地と増床公園敷地に旧基礎を道路用地から平行移動して警報機を展示物兼保安器材として再設置してしています。このように黄福柵原駅は輸送を目的とした鉄道駅ではないので、動態展示を廃止時そのままの形で行う場合、現行の法規内でどうすれば可能なのかを協議した結果、地元合意の上で実現しているものです。接続曲線化、分岐器新設準備工事と線路の延伸、ならびに閉塞システムの接続工事期間は土日を利用した48日、施工期間約1年。作業参加人数175名でした。署名いただいた皆様や関係各位のご尽力で立派な三角屋根で時計のついた駅舎となり、理想以上の夢を叶えて頂きました。密やかな憩いの場として、鉄道愛好家の理想郷の一つとして、また夢の職場として、車両を労わりつつ今後も各方面にゆっくり恩返ししてゆきたいと思います。

開通から4ヶ月が経過し、前年比50%増しの来園者増、県単位での地域経済効果試算結果は3,311万円/年、新駅舎償還期間は2.5年見込というのが現状実績です。黄福柵原駅供用開始により
気動車を全て連結した3両編成で片道最大運搬量1,620人/日(9便)に対応できるようになりました。現在は、黄福柵原駅完成(2面1線、4両対応化工事)への活動を再開、周辺観光との地域連動を開始いたしましたことを民間動態保存の一事例としてご報告いたします。

片上鉄道保存会 業務担当幹事 森岡誠治

トロリが入線して照明柱が立ちました
トロリが入線して照明柱が立ちました
開通した51号分岐器
開通した51号分岐器
団体3連入線
団体3連入線