ごあいさつ

 
 

昨年の長浜市での総会や敦賀市、南越前町の北陸本線の鉄道遺産を楽しく見学した頃が懐かしく、皆様の笑顔が今でも忘れられません。ところが新年が過ぎ、暖かな春の陽ざしに包まれる頃に予期もしていなかった新型コロナウイルス感染症の拡大に見舞われ、窮屈な生活が始まりました。会員の皆様におかれましても様々な困難にみまわれていらっしゃることと存じます。どうぞ、力を合わせてこの苦難を乗り越えて参りましょう。

本年度は、くりでんミュージアムのある栗原市で総会や見学会を開催したかったのですが、残念ながら叶いませんでした。その結果、行き着いたのが書面総会とリモート会議でした。慣れない作業で事務局はてんてこ舞い。関係の皆様のお力添えもあり、実現に至りました。不手際も多々あることと存じますが、明るく、楽しく情報交換が出来ますことを心よりお願い申し上げます。

1872(明治5)年新橋—横濱間に我が国初の鉄道が開業して148年。2022年で開業150周年を迎えます。鉄道における150周年は記念すべき歴史の節目としてイギリスを始めドイツ、フランス、アメリカなどは、国を上げて盛大な式典やイベントを行いま、動態保存されている歴代の名車両の展示や、パレードなど華やかな舞台が展開されました。ご存知のとおり、我が国の鉄道100周年記念時には、国鉄が京都梅小路蒸気機関車館(現・京都鉄道博物館)を設置、17両の蒸気機関車を動態、静態保存展示し、100周年記念誌も発行しています。

さて、150周年はどうするのか?国鉄から民営会社になってしまい、一枚岩でお祝いが出来るのか?気になるところではありますが、鉄道事業者でもない私どもが騒いだところで仕方がありません。そこで、日本鉄道保存協会では、公益社団法人横浜歴史資産調査会と協働で150年記念誌やイベントを皆で行うことを目的に委員会をたちあげることにしました。そんな矢先、横浜で嬉しい出来事がありました。JR東日本が桜木町駅界隈の再開発で新たな商業施設を建設。ホテルや食品ストア、フードコートの一角に本物の蒸気機関車110号と客車(複製)、鉄道開業時の資料等の展示を行ったのです。正に快挙。これで東京の新橋には復原された駅舎があり、横浜には当時イギリスから輸入された10両の蒸気機関車のうちの1両が保存されたことになり、鉄道開業の歴史を実感できるようになりました。
 
横浜は、絹製品や生糸の輸出港として栄えました。全国から横浜港を目指してたくさんの生糸や絹製品を積んだ貨物列車が運転されて来ました。レイルロードはシルクロードなのです。今は湘南新宿ラインと呼ばれている路線は、まさしく北陸、信州、上州、東北地方からのシルクロードでした。そんな歴史も大切に皆様と力を合わせて計画を推進して参りたく存じます。なにとぞご支援、ご協力のほどお願い申し上げます。

来年は、栗原市での総会と見学会で、皆様と笑顔で再会いたしたく存じます。楽しみにいたしております。

2020(令和2)年10月9日          
日本鉄道保存協会 代表幹事団体            
公益社団法人 横浜歴史資産調査会(ヨコハマヘリテイジ)
会長 宮村 忠