オホーツクの鉄道
遺産と記憶を未来へつなぐ

鉄道史のスペクタクルとドラマを伝え遺す

かつてオホーツクは、明治44年の網走線開通に始まり、国鉄、森林鉄道、鉱山軌道、植民軌道など25の鉄道・軌道が走る鉄道王国でした。鉄道は文字通りオホーツクの開拓と近代化の牽引車であり、今日のオホーツクを形づくる礎となりました。
オホーツクの鉄道はその建設に様々な苦難や悲劇を伴った一方で、人々の日常生活にも深くかかわりました。オホーツクの鉄道の歴史を伝え遺すことはこれに関わった人々のスペクタクルと悲喜交々のドラマを蘇らせることに他なりません。その遺産と記憶を未来へと繋げるために、私達はNPO法人を設立しました。北見市の「丹尾遺産車両」を譲受け、その修復保存と公開を行うとともに、オホーツクを走り回った様々な鉄道と鉄道に支えられた産業、生活、文化等の郷土史の記録や遺産を発掘、保存、公開を行います。

私達が行うこと①:丹尾遺産車両の補修・保存・公開

「丹尾遺産車両」は故丹尾一男氏が収集した国鉄車両7台から構成されます。キ100のラッセル車は現役時代にオホーツク各地で活躍し、キハ27は石北線の急行列車として使用され、スユ15は型式として現存する全国ただ1両の貴重な郵便護送車です。
いずれの車両も塗装剥がれや腐食が進み、大規模修繕とその後の経常的な保守が必要です。大規模修繕は市民寄付とクラウドファンディングにより資金を調達し、経常的保守のための資金を得るために、キハ27の喫茶レストラン化、スユ15と緩急車は資料博物の展示車両として活用します。

私達が行うこと②:森林鉄道他の鉄道資料の収集・公開

かつて、オホーツクには7つの森林鉄道と8つの軌道がありました。とりわけ森林鉄道は国鉄に繋がり、駅の周辺には巨大な貯木場が置かれました。オホーツクの町々は林業産業とともに大きな繁栄の時代を謳歌しました。この他鴻紋軌道、斜里殖民軌道、小清水鉄道など鉱山開発や内陸部の農業開発などに活躍した諸軌道の歴史資料の発掘や調査、収集、公開をおこないます。
 私たちはその最初の取組みとして、陸別町に放置されている森林鉄道客車の廃車両を移動し、復元公開を行います。

私達が行うこと③:鉄道・近代化遺産観光のセンター

私たちは「丹尾遺産車両」展示場を拠点として、オホーツク各地にある鉄道遺産、産業遺産など近代化遺産に関する情報提供とガイド事業、更にはツアーの企画やプロモーションを行いオホーツクの鉄道・近代化遺産観光のセンターとして取組みます。

私達がめざすこと:オホーツク鉄道歴史記念館の開設

私たちが最終的にめざすものは「オホーツク鉄道歴史記念館」(仮称)の開設です。北海道遺産である「ピアソン記念館」がオホーツクの近代化を文化の視点から、「ハッカ記念館」が産業の視点から伝えるのに対して、「オホーツク鉄道歴史記念館」は近代化を人々の営みのスペクタクルとドラマとして伝えます。この3つの記念館が揃うことで、人々にオホーツクの開拓と近代化の実相、真の姿を見せることが可能になります。