公益社団法人横浜歴史資産調査会(愛称・ヨコハマ ヘリテイジ)では、横浜市内の歴史的建造物、土木遺産等の調査、保存、活用の他、内閣府認定の公益法人として生活文化の視点から鉄道や生糸文化等を大切にしている全国各地の皆さまと力を合わせて地域遺産の調査、保存、活用を行っております。

1.旧湘南電気鉄道(現・京浜急行電鉄)瀬戸変電所の調査、保存、活用
京浜急行金沢八景駅に隣接している瀬戸変電所は、昭和5年の湘南電気鉄道開業に合わせて、昭和4年に建造された鉄骨、鉄筋、コンクリート造の堅牢な歴史的建造物で昭和50年末まで使用されていました。ここで生まれた電気で湘南デ1形を始め、湘南、京浜急行の500、600、1000、2000形等の名車が快走しました。
当公益社団では、この建物の現況、耐震、修理計画等の調査を約5年かけて行いました。今年度は、現代美術作家活動拠点等に向けた事業計画を作成中で、2023年度の改修事業を目指し、鋭意、取り組んでいます。

旧湘南電鉄瀬戸変電所は、金沢八景駅に隣接
旧湘南電鉄瀬戸変電所は、金沢八景駅に隣接
建物内部の劣化状況を調査中
建物内部の劣化状況を調査中
 

2.旧国鉄高島支線・瑞穂橋梁の調査
瑞穂橋梁は、品鶴線から分かれて横浜の港を目指す高島線から分岐し、横浜港の瑞穂埠頭に通じる線路に架かる橋梁です。当公益社団では、「港−鉄道−ヨコハマ」と港における鉄道の重要性を発信していますが、演歌ではないが、「港、横浜」が浸透しています。
赤レンガ倉庫や横浜港駅に通ずる旧横浜臨港線を横浜の歴史的資産と位置づけ、「汽車道」として整備したように、瑞穂橋梁を中心にプレートガーター橋や見事な石積みの築堤がつらなる鉄路の再生を仕掛けたいと思っています。
特に要となる瑞穂橋梁は1934年(昭和9)建造で、全長約80m、美しいアーチを描く曲弦ワーレントラスとプレートガーターを組み合わせた美しい橋梁です。幅は、複線分ありますが、当初から東側に単線形式で線路が設けられ、現在もその様子が良く残っています。我が国初の溶接技術を用い、一部には従来のリベットも使用されていることから大変珍しい橋梁です。専門家は、国指定重要文化財級と評価しています。
瑞穂埠頭は、現在在日米軍の補給基地として利用されていますが、線路や橋梁は2021年3月31日に返還されました。これらの保存、活用を目指します。

宮村会長(右から二人目)、役員らで瑞穂橋梁を視察接
宮村会長(右から二人目)、役員らで瑞穂橋梁を視察